「生命保険は、いくらかけておけば安心ですか?」
保険の仕事をしていると、よく聞かれる質問です。大きな保障があれば安心に見えますが、その分、毎月の保険料も高くなります。
先に結論をお伝えすると、家族構成だけで「必要な保障額は○千万円」と決めることはできません。
必要な保障額は、家族の生活費などから、遺族年金、貯蓄、配偶者の収入といった「すでにある備え」を差し引いて考えます。この記事では、難しい言葉を使わずに順番を説明します。
生命保険の「保障額」とは?
この記事でいう保障額とは、主に、亡くなったときに家族へ支払われる死亡保険金のことです。
目的は、残された家族が生活を立て直すまでの不足分を補うことです。多ければ多いほどよいわけではなく、必要以上に大きいと保険料が家計を圧迫します。
必要な保障額の基本的な考え方
基本の考え方は、次のとおりです。
必要な保障額 = 家族に必要なお金 − すでにある備え
「家族が将来使うお金」をすべて保険で準備するのではありません。公的な制度や今ある資産で足りない部分を、保険で補うイメージです。
まず「家族に必要なお金」を整理する
- 残された家族の毎月の生活費
- 子どもの教育費
- 家賃や住宅ローンなどの住居費
- 葬儀や身の回りの整理にかかる費用
- 当面の予備費
生活費は、現在の支出をそのまま人数分で割るのではなく、亡くなったあとも残る固定費を確認します。家賃、光熱費、通信費などは、家族が一人減っても大きくは下がらないことがあります。
次に「すでにある備え」を差し引く
- 遺族基礎年金・遺族厚生年金
- 配偶者や家族の収入
- 預貯金や運用資産
- 勤務先の死亡退職金や弔慰金
- 現在加入している生命保険
- 住宅ローンの団体信用生命保険
金融庁も、民間の保険は公的保険を補うものなので、公的保障の内容を理解してから必要に応じて加入することが大切だと案内しています。
遺族年金は人によって金額が違う
遺族年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金があります。受け取れるかどうかや金額は、亡くなった方の年金加入状況、家族構成、子どもの年齢などによって変わります。
「会社員ならこの金額」「子どもがいれば必ずこの金額」とは言い切れません。日本年金機構の案内を確認するか、年金事務所などで自分の条件を確認してから計算しましょう。
住宅ローンがある人は団信も確認
住宅ローンに団体信用生命保険が付いている場合、契約者が亡くなると残りのローンが返済されることがあります。ただし、保障の対象や条件は契約によって違います。住宅ローンの残高をそのまま生命保険に上乗せする前に、契約内容を確認します。
家族構成別に確認したいポイント
独身・扶養する家族がいない場合
大きな死亡保障の必要性は一般的に低くなります。葬儀や身の回りの整理、返済が必要な借入金、家族に残したいお金があるかを確認します。
夫婦二人・子どもがいない場合
配偶者の収入、住居費、貯蓄を確認します。共働きでも、一人になったあとに家賃や住宅費を無理なく払えるかがポイントです。
子どもがいる場合
子どもが独立するまでの生活費と教育費を考えます。子どもの年齢が低いほど、必要な期間が長くなる傾向があります。配偶者が働くために保育費などが増える可能性も忘れずに確認します。
ひとり親家庭の場合
家計を支える人に万一のことがあった場合、代わりの収入を確保しにくいため、生活費や教育費をより丁寧に確認する必要があります。親族からの援助の有無や、子どもの生活を誰が支えるかも含めて考えます。
子どもが独立したあと
教育費や長期間の生活費を準備する必要が小さくなるため、死亡保障を減らせることがあります。老後資金や医療・介護に回すお金とのバランスを見直します。
簡単な計算例
例えば、遺族年金や配偶者の収入を差し引いたあとも、毎月8万円不足する状態が10年間続くとします。
- 毎月の不足分:8万円 × 12か月 × 10年 = 960万円
- 教育費など、まとまった支出:400万円
- 差し引ける貯蓄:300万円
この例では、960万円 + 400万円 − 300万円 = 1,060万円が一つの目安になります。
これは計算方法を説明するための例です。実際には、遺族年金、物価、働き方、進学先などによって金額は変わります。
保障額を見直すタイミング
- 結婚・離婚をしたとき
- 子どもが生まれたとき
- 住宅を購入したとき
- 転職や独立で収入が変わったとき
- 子どもが独立したとき
- 貯蓄が増えたとき
毎年細かく変更する必要はありません。生活が大きく変わったときに、今の保障が多すぎないか、少なすぎないかを確認すれば大丈夫です。
見直すときの注意点
- 新しい保険が成立する前に、今の保険を解約しない
- 一社の提案だけで決めず、必要額の計算根拠を確認する
- 「不安だから多めに」ではなく、家計で無理なく続けられるかを見る
- 持病や通院歴がある場合は、加入条件を先に確認する
まとめ
- 必要な保障額は「家族に必要なお金 − すでにある備え」で考える
- 遺族年金、貯蓄、配偶者の収入、団信を忘れずに確認する
- 家族構成だけで一律の金額を決めない
- 生活が大きく変わったときに見直す
生命保険は、たくさん入ることが目的ではありません。もしものときも家族が生活を続けられるように、足りない分だけ準備するものです。
参考資料
※この記事は一般的な情報をまとめたものです。必要な保障額や公的保障は、家族構成、加入している年金制度、収入、資産、契約内容などによって異なります。保険の契約・解約は、保障内容と条件を確認してご自身で判断してください。
あわせて読まれています
無料の保険相談はこちら
自分の家庭に必要な保障額を整理したい方は、複数の保険を扱う相談サービスも利用できます。提案された保険を必ず契約する必要はありません。計算の根拠や条件を確認して判断しましょう。


コメント